惡の華に心を救われた話


映画『惡の華』9.27公開|本予告90秒

 

邦画大好き~~~!!!もうしばらく邦画しか見たくない。最高。

惡の華』の原作は読んでませんが、あの独特の表紙には当時本屋に行く度に目を奪われていました。そして、アニメ…と言っていいのかわかりませんがアニメは見てました。主題歌のパターンが人物ごとに何通りもあったのが良かったですね~。コワカワいいエンディングはドはまりして夜道で聴いたものの、やっぱり怖くて再生止めた記憶があります。これらって全て私が中学生の時の出来事なので、実写化まで長かったなあと…。でも、健太郎くんとティナちゃん以外のキャスティングが考えられないくらいお二人とも役にハマってたので、この2人が俳優活動してない時期に実写化しなくてよかったと心から思います。タイミングバッチリ!

 

観てる最中は、向こう側に行きたい一人として、登場人物の気持ちが痛いほどわかってめちゃめちゃ辛く、めちゃめちゃ楽しかったです。今の自分、実家出たいレベルカンストしてて、映画館行くまでの道のりで泣いたくらい家帰りたくないんですね。そんな状態でこの映画観ちまったもんだから共感度がEGUMIだった。特に、冒頭の「現在思春期の者、そしてかつて思春期を経験した全ての者に捧ぐ」ってニュアンスの文言が響きました。。。年齢的には思春期じゃないけど現在進行形で思春期みたいな悩みを抱えてる私みたいな人間にクリティカルヒットする日本語だ…。

本編の雰囲気好きすぎて、ただ静かな校舎のシーンも面白くて困った。なんでこんなに面白いんだろう?と考えたときに、視聴者の分身である春日と仲村がずっと思春期を味方につけてるからかな、という結論に至りました。仲村は特に破壊衝動が強いですが、普通の公立中学生って、ほとんどは高校進学へ向けての内申問題があるので、内に秘めた衝動を実現させることが不可能なんですよね。私もそのうちの一人で、しかも苦労して集めたその内申のせいでゴミクラスに収容されて最悪な高校生活のはじまりだったんですが、まあそれは置いておくとして、深夜の教室侵入および教室破壊って夢のような崩壊願望をたった2人で叶えるんだから、すこぶるうらやましいに決まってるじゃないか。アンタらよくやった、よくやったよ…、私の代わりにありがとう…。

そして多感な中学生らしく、100%吹っ切れてるわけじゃないという演出が伝わってきて素晴らしかった。翌日発覚する事実を理解していても抑えられない想いってあるんだよ。あの瞬間は灰色な世界で間違いなく唯一輝いていた。家に帰ると途端に灰色になるのも現実感があってしんどかったなあ…。親に責められるためにやってるわけじゃないことが伝わらない。でも春日と仲村の親は難易度低めでいいですね。まあ介入するようなバイオレンスな親だと物語に成立しないからさ…子供の自主性の下成り立つ青春物語なのに邪魔が入ったらたまらん。せめてここだけは憩いの地であってほしい。

 

激動の中学時代を終え、高校へ進学した春日はあらゆるきっかけとなった仲村に「ふつうにんげん」の烙印を押されることで救われ、前に進めるようになりましたが、視聴者はどうなんでしょうか。私は間違いなく救われました。春日が救われたのもそうですが、大人になったら黒歴史と一括りにされてしまうような過去でもその時の当人たちにとっては何を置いても重要で、譲れなくて、朝から晩までそのことを考えていて、その人の人生において必要な過去なんですよ。過去が未来を形成しているということを忘れ、黒歴史は消去したと強がりを言ってひと時の満足を得るよりも、春日のように今までの事を偽りなく振り返って日記に綴って誰かに賛同を得ることの方が大事ですよ。なかなか出来ることじゃないので勇気がいりますけど、平凡に見える春日はこういう部分があるから主人公になってるんだろうなあ。肝心な時の思い切りがいい人は好きです。訳もなくモテてるわけじゃないのがラノベとの違いですかね。佐伯さんの体操着を盗んだっていう設定だけ先行して有名になってますけど、あんなんただのきっかけに過ぎないんですよ。あの日から春日の人生が方向転換したのは間違いないですが、それに付随する出来事全て、灰色な世界の中の鮮やかな非日常という言葉では包括出来ないくらい各々の言語化出来ない想いが交錯してめんどうくさい広がり方になってるんです。そもそも向こう側の基準も曖昧ですしね。春日と仲村の向こう側の認識が本当に一致していたのかどうかも今となってはもうわかりませんが、違っていたとしても2人で目標に向かって笑いあった日々は消えることのない思い出として2人の中に残り続けるんでしょう。

いいな~!!!そんな危うい青春してみたかった~!!こじらせたっていいじゃないか、やってみなきゃわからないことしかないんだから。

惡の華は枯れても、春日の人生は続きます。仲村、佐伯さん含め、惡の華に惑わされた人々全てが救われてほしいな。かつてを恥じずに今日を生きていけますように。